今回はマーケティング思考について「温活」をテーマに書いてみます。
温活とは、冷えを改善するノウハウです。
寒い季節に温まりたいのは皆一緒ですが、冷えを強く慢性的に感じる人は特別な対策がいるのです。それが「温活」と呼ばれますね。
世の中には温活をテーマにしたいろんな商品やサービスがありますが、どうしたら自社はこの市場に割って入ることができるでしょう?
マーケティング思考を使って考えてみます。
目次
マーケティング思考の「フレームワーク」
マーケティング思考のフレームワークは下の通りです。
上から順番に考えます。
【マーケティング思考の「フレームワーク」】
1. ゴール・目的設定
2. 市場分析
3. WHO(誰を対象にするか?)
4. WHAT(どんな価値を提供するか?)
5. HOW(具体的にどうするか?)
マーケターとしての「売れる確率」、つまり「再現性」を高めて売れる商品やサービスを作るには、必ずフレームワークの上から順に考える必要があるのです。
いつも通り「1. ゴール・目的」に関しては目指すビジネスや自社の規模によって変わるので、この記事では取り上げません。
まず「2. 市場分析」から進めます。
市場分析/世の中を調べてみる
ざっくりと市場を調べてみると、温活に関して下のような商品やサービスがありました。
「温活」関連商品
・カイロ、温熱シート
・衣類(ヒートテック、ソックス、レッグウォーマー、腹巻など)
・食事、ドリンク、サプリ(生姜、スパイスなど)
・入浴剤
・漢方
・あたたかグッズ(電気毛布、足元暖房など)
・温活の本や雑誌
・筋トレや運動法
・温活エステサロン
・サウナ
・温活アドバイザー講座(ユーキャン)
・温活士、温活指導士などの資格(一般社団法人 日本温活協会)
これらを踏まえた上で、自社は「誰に、どんな価値を提供するか?(WHOとWHAT)」を考えます。
WHO/誰を対象にするか?
まず、どんな人を対象にするか考えてみます。
温活商品に限りませんが、人はなるべく楽して問題を解決したいと無意識に思っています。
理想としては根本的な体質改善によって冷えを感じにくくするのが良いのでしょうが、そのような手間と労力がかかるもの受け(売れ)ません。
ダイエットでもハードな運動と長期間の食事制限をする方法より、「楽して簡単に痩せられます」と言われる方法の方に人気が出る(売れる)ものなのです。
商品を売る(人を動かす)には、人の本能には逆らわず素直に従った方が良いですね。
すると、「普段の生活に簡単に取り入れられるもの」「毎日の行動と連動するもの」「温活以外のメリットも得られる一石二鳥のもの」などがアイディアとして出てきます。
WHAT/どんな価値を提供するか?
たとえば「普段の生活に簡単に取り入れられるもの」としては、置き換えダイエットのアイディアを温活に転用することができそうですね。
置き換えダイエットは、たとえば朝食をご飯や味噌汁からダイエットスムージーに換える、ダイエットコーヒーに換える、などしてカロリーを減らすことを目指します。
普段の生活に何かをプラスすると手間が増えますが、もともとかけている手間を別のものにかけるだけなので、手間が増えることはないのです。
これによって普段の生活の中で「楽して簡単に温活できる」という価値を提供することを考えます。
HOW/具体的にどうするか?
そこで、たとえばお湯をかけてすぐ食べられるフリーズドライの「温活専用の味噌汁」を作っても良いですね。
体を温める食材をたっぷり詰め込めば、わざわざそれらを自分で買ったり作ったりする手間を減らせます。
冷えを強く感じる人は朝だけでなく昼や夜も食べるよう促せば、顧客の消費点数を増やせるので顧客単価が上がります。
味噌汁でなくとも「温活専用スープ」でも良いかもしれません。
ユーキャンの「温活アドバイザー」の講座を修了した人や日本温活教会の「温活指導士」の資格を取った人が、「栄養士」と組んでメニュー作りをしても良いですね。
体が温まるのはもちろん、栄養バランスもしっかり考えて作ります。体が温まり栄養バランスもとれる、一石二鳥の価値を提供することができるのです。
そうすれば、それはもはやただの「味噌汁、スープ、お弁当」ではなくなります。
温活に特化した権威性や価値が加わることが他社商品との「差別化」となるのです。
「差別化」の本当の目的とは?
ちなみに、「差別化」という言葉を生み出したハーバード大学のマイケル・ポーター教授は、差別化について次のように話しています。
「割高な価格を要求できることが、差別化の本質である」
他社との違いを作ることが差別化ではないのです。
違いを作ることによって消費者にとっての商品の価値を高めること、商品の価格を上げても買ってもらえるようにすること、それによって企業の利益を増やすことこそが差別化の目的なのです。
違いを作っても消費者価値につながらなければ意味がないし、価格を上げて企業の利益を増やせないのならその差別化に意味はないのです。
今回の例でいえば、「栄養士×温活指導士」の監修で開発した温活専用の味噌汁やスープなどができれば、温活と栄養の両方を同時に実現でき消費者の価値に繋がります。
そして、この特別感のおかげで一般的な味噌汁やスープより高い価格でも売れる可能性がありますね。
冷えに悩む人は一般的な味噌汁より、自分の課題をより効果的に解決してくれるであろう商品に高いお金を払うでしょう。
それによって企業の利益も増やすことができるのです。
サービスと組み合わせる/意味を変える
あるいは、このような温活商品をジム、エステ、ヨガスクールなどでお客さんに紹介しても良いですね。
ジムやエステなどにはダイエットを目的に来ている人もいるでしょう。その人たちに「置き換えダイエットの新商品」として提案することもできますね。
温活を前面に出さなくとも、ダイエットを前面に出しても売れるのです。同じ商品でも対象とする人(WHO)が変われば適切な売り方(HOW)も変わります。
置き換えダイエットに使えて、おまけに体が温まる副作用まであるのです。体が温まると代謝が増すので、ダイエット目的の人にはピッタリですね。
味噌汁やスープであれば手軽に毎日の食事に取り入れられるので、リピートして買ってれる人もいるでしょう。
ジムやエステのオーナーが温活指導士の資格を取って、温活指導サービスなどを組み合わせることもできるでしょう。
そして温活商品をサブスクで売るのです。そうすれば顧客単価は自然に上がっていきますね。
他のジムやエステなどとの差別化にもなり、価格を上げてもお客さんが選んで来てくれるかもしれませんね。
サブスクの記事はこちら↓
このように、マーケティング思考を使えば新商品やサービスで新市場の開拓だってできる可能性があるのです。
あとは実際にやってみて試行錯誤を繰り返し改善していけば成功に近づきます。
マーケティングはビジネスを組み立て加速する最強のツールになりますね。