売れる「進化思考」/変異8:逆転-太るサプリ・逆転のアーティスト

太刀川英輔さんの「進化思考」は、生物進化の「変異」と「適応」を創造のヒントにする考え方です。

この進化思考を活かすことで、これまでにない商品やサービスのアイディアを生み出しやすくなるのです。

今回はこの進化思考から「変異8:逆転」の発想で生み出せる商品の具体例を見ていきます。

変異の種類

「逆転」とは通常とは逆にすることですね

この「逆転」の発想でこれまでにない商品アイディアを出すことも可能なのです。下で具体例を見ていきますね。

前回の記事はこちら↓

「太りたい人」向け商品/ダイエットの逆転

「痩せたい人」は世の中に多いですが、逆に「太りたい人」もいるのです。

野球などのスポーツで体を大きくしたい人もいますが、それとは別に痩せる腸内細菌や体質などの影響で標準体重より低い人たちもいますね。

病気でなくとも標準体重−10kgや15kgなどで、食べても太れない、食べられなくて太れない、といった人たちです。

通常よりかなり痩せている結果、

「ガリガリなのが恥ずかしくて夏でも半袖を着られない」「胸がなくて女性らしく見られない」「脱ぐのが恥ずかしくて海や温泉なんて行けない」「サイズの合う服がない」「貧相で男としての自信が持てない」「元気なのに病気だと疑われる」「年齢を重ねるとシワが目立って老けて見られる」...

など、多くの悩みを抱えています。

そんな人向けの商品を作れれば売れる可能性がありますね。

甘いものや脂っこいものをたくさん食べて、動かず、すぐ寝れば太る、なんてものは解決策になりません。そんな簡単に太れたら悩みません。食べても太れないから悩んでいるのです。

それに、そのような不健康な太り方はしたくないから悩むのです。

需要(悩み)があって、供給(競合)がない、または少なければ、そこにチャンスがありますね。世の中にまだ埋められていない「穴」が開いている状態です。

さらに、高齢化によって運動機能が大きく低下した「フレイル」という状態の方も多くいます。骨や筋肉が弱って歩くのもしんどい状況で、そのまま行くと要介護に近づいていくのです。

そうなれば、本人やその周りの人たちの生活の質が低下することが考えられます。「太りたい人向け」の商品はそのような方の健康的な体づくりにも役立つ可能性があるのです。

実際、太るサプリ、太るプロテインやゼリーなどといった商品もあり、年間数億円は売れています。

食事や運動指導と合わせて商品を使うことで健康的な体づくりができるのなら、そこには現在ますます拡大中の大きな市場があるのです。

ただ単に「売れる」という自己の視点だけで考えるのではなく、多くの人たちを助けることで世の中をもっと良くする「利他」の視点で考え実現できれば多くの人たちから感謝されます。

進化思考やマーケティングは「利他」の思考があって初めて生きます。良い商品やサービスを作って世の中を少しでも良くしてきたいですね。

西野カナ/「逆転」に見えるアーティスト

西野カナさんは素晴らしミュージシャンの一人ですね。

西野さんは2014年11月25日掲載の「Sponichi Annex」のインタビューで、作詞のプロセスを説明していました。

先に曲を作ってもらって、その曲のイメージからどういう曲にするか、まずレジュメを書く。次に長い仮タイトルをつけて、主人公を設定して詞を書き出す。詞も凄く長いのを書いて、次にアンケート。これが大事。アンケートを基に添削していく。キーになりそうな言葉はサビとかサビ前後に。タイトルも添削して短くする。

これはいわば、新商品づくりのマーケティングの一部ですね。

「自分」からスタートして、自己中心的な、自己満足的な歌詞を作ってファンに届けるのではありません。

自分に起点がありながらも「相手(リスナー・顧客)」の考えを調べて、理解して、それを基に商品(曲)を作るのです。

マーケティングでいう「プロダクトアウト(販売者が良いと思ったものを作る)」ではなく、その逆の「マーケットイン(顧客の声を基に商品を作る)」を一部行っているのです。

絵画や音楽などの「アーティスト」は「自分起点だけ」で作品を作ることが多いので、顧客の意見を取り入れると「自分を曲げることだ」「ファンに迎合することだ」と勘違いされがちです。

しかし、そもそもアートに「正解」なんてありません。アートは学校のテストではないのです。

アーティストの作品の作り方に唯一絶対の正解はなく、満たさなければならない条件も何も無いのす。アートとは、そんな狭い、型にハマったものではありません。

実際、世の中を知って、その上で自分の進むべき方向性を考える優れたアーティストだっているのです。

最終的に「良い作品」ができて喜ぶ人が多ければ良いのです。そして良し悪しの基準は自分一人だけで判断するのではなく、ファンにも判断の一部を委ねているのです。

言い換えれば、「作品をファンと一緒に作っている」ということですね。

同じインタビューで西野さんは下のようにも話しています。

自分のこだわりに固執するより、いい歌になる方がいい。

狭い型にハマらず「いい歌」を目指すからこそ、多くの人たちの心に響く素晴らしい作品を作り続けられるんですね。

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