競争戦略とは何でしょう?
ハーバードビジネススクールのマイケルポーター教授は、競争戦略を「ライバルとは違う活動をすること」あるいは「同じような活動を違ったやり方で行うこと」としています。
実は、このやり方はビジネスに限らず生物の生存競争も一緒なのです。
そしてこの競争戦略について知ることで、他社と無駄な競争をして自社の利益を削る必要はなくなるのです。
実際、本当に強いビジネスは「競争しない」ビジネスです。いかに他社に勝つかを考えるのではなく、いかに他社と戦わないかを考えるのです。
では、どうすればそんなことが可能なのか?今回は生物やビジネスの競争戦略について見ていきます。
「生物」の競争戦略
自然界では競争はあるものの、常に激しく戦っていては生き残ることはできません。どんなに強い生物でも勝ち続けることは無理なのです。
そのため、生物における競争は「戦って相手を滅ぼすこと」ではありません。オンリーワンを奪い合う戦いです。
たとえば、草原で丈の低い草を餌とするもの、中位の高さを餌とするもの、そして木の上の高いところの葉を餌にするものは、それぞれ餌を奪い合って戦う必要はありません。
またライオンは比較的大きな動物を食べますが、チーターは小型の草食動物を狙います。一方、ヒョウは木の上のというポジションを確保していて、ライオンともチーターとも競争することがないのです。
生物学ではこの現象を「棲み分け」と呼びますね。
ビジネスでいうと「ポジショニング戦略」です。
マイケルポーターがいうところの「ライバルと同じような活動を違ったやり方で行うこと」をしているわけです。
「クレンジング」の競争戦略
この競争戦略は私が携わっている化粧品通販でも当てはまります。たとえば、メイクや毛穴の汚れを落とすクレンジングです。
温感で汚れを浮かせて落とす「ホットクレンジング」
炭酸泡で汚れを浮かせて落とす「炭酸クレンジング」
炭で汚れを吸着して落とす「炭クレンジング」などがあります。
それぞれ「温感」「炭酸泡」「炭」という別の「手段」を使っていますが、目指すところはどれも同じ毛穴の汚れを落とすことです。
マイケルポーターがいうところの「ライバルと同じような活動を違ったやり方で行うこと」をしているわけです。
それでも競争は無くならない
ただ、生物はうまく棲み分けできますが、ビジネスはそうもいかずお互いぶつかり合うことも多いです。
それぞれの商品が対象とする人が一緒なのです。
草原に生えている丈の低い草の場合、ある時は下に生え、ある時は中位の位置に行き、ある時は木の上に移動する、などということはありませんね。
しかし人の場合、同じ顧客がある時はAを試し、あまり効果を感じられずにBやCを試してみる、というブランドスイッチが頻繁に起こります。
そこが生物とビジネスの違いです。人はその時その時で頻繁に行動を変えるのです。
生物の競争戦略はある程度はビジネスにも当てはまるものの、やはり、ある程度にとどまります。ビジネスの正解にはならずヒントになるくらいです。
それでも生物の競争から学べることは多いですね。
マーケティングはアイディア勝負
仮に、私がこの市場に新たに入ろうとした場合、他社と「手段」を変えることを考えます。他社と同じ「手段」ではただの2番煎じになり、他社の劣化コピーにしかなりません。
具体的なアイディアはここでは控えますが、「手段」を変えそれが顧客に受け入れられれば、市場の一部、年商数億円から数十億円は取れるのがクレンジングの市場です。
そのためのアイディアを出すのに「アート思考」や「進化思考」が役立つのです。これらは学ぶことで数億円以上の経済的価値を生み出せる可能性があるのです。
今、マーケティングの主戦場は「アイディア」です。
これからもさらに独自のアイディアの価値は高まり続け、クリエイティビティの需要も高まり続けていきますね。