「進化思考」で売れる商品を考える/変異1:変量No.1

太刀川英輔さんの「進化思考」は、生物進化の「変異」と「適応」を創造のヒントにする考え方です。

この進化思考を活かすことで、これまでにない商品やサービスのアイディアを生み出しやすくなるのです。

今回はこの進化思考から「変異1:変量」の発想で生み出せる商品の具体例を見ていきます。

変異の種類

 

この「変量」の考え方は、今あるものをののサイズを大きくしたり小さくしたり、あるいは厚く、薄く、高く、長くなど、いろんな形に「変形」させてみることです。

生物進化でいえば、大型化した動物である恐竜やシロナガスクジラ、首を長くしたキリンや体を薄くしたヒラメなどが良い例ですね。

この「変量」の発想によって固定観念を外しやすくなるのです。下で具体例を見ていきますね。

椅子の幅を横に伸ばせばベンチになり、上下に伸ばせばプール監視員の椅子になる。低くすればラウンジチェアになるし、高くすればカウンターチェアだ。面積を大きくすればベッドになり、小さくすれば自転車のサドルになる。

やわらかくすれば長居したいソファになり、硬くすれば顧客の回転率の高いハンバーガー屋の椅子になる。小さくして子供や人形を座らせたり、大きくしたら家として座面の下に住めるかもしれない。

モノに秘められた量のパラメーターが変化するだけで、役割や機能も変化する。このように、パラメーターを誇張的に変える思考プロセスに慣れ、瞬間的に多くの未知の可能性を連想できれば、固定観念のバイアスを簡単に外せるようになる。

ー太刀川英輔 進化思考より

「大きく」「小さく」してみる

■大型たこ焼き器

たこ焼きを大きくした「ギガたこ焼き器」はTVでも取り上げられ話題になりました。

たこ焼き屋で大型を作ることで話題を作り集客に役立てているお店もありますね。

 

■小型カメラ

カメラを小さくした超小型カメラは、使い方さえ間違えなければ必要とする人がいて役立ちます。

 

■プチお菓子

銀座千疋屋プチフルーツタルトは通常のタルトを小さくしました。高級品を小さくすることで価格をある程度落とし、お土産にも使いやすくなりました。

ブルボンのプチシリーズもお菓子をシェアするのにぴったりですね。

■小型冷蔵庫

車中泊やキャンプなどにも使える小型冷蔵庫は片手で持ち運べるサイズです。

キッチンで必要な肉や野菜や冷凍食品は入れず、リビングなどに置いて冷蔵庫まで取りにいくまでもないドリンクなどを冷やしておくのに良いですね。

 

■小型洗濯機

小型洗濯機は通常の洗濯機を回すほどでもないものでも、パッと洗濯できるところがポイントです。

すすぎや脱水といった機能を省いて手軽さがさらに増しています。

掃除に使った雑巾やタオルを洗うなど、「手洗い以上、洗濯機未満」というスキマを突いた素晴らしいアイディアですね。

「薄く」「厚く」してみる

■PC周辺機器

薄型のマウスやキーボードはデザイン性も高く人気ですね。

必ずしも「機能」として薄型でないものより優れていなくとも、「デザイン性」が優れていればそこで売れる可能性はあるのです。

 

■abrAsus(アブラサス)の財布

薄い財布として有名なアブラサスの財布は、持ち物を最小限にしたいミニマリストにも人気です。

特にキャッシュレスで現金をあまり持ち歩かない人にとってはスッキリ感が魅力ですね。

 

■薄型シューズラック

シューズラックを通常より薄型にすることで、狭い玄関のスペースを有効活用できるようにした優れものです。

このシューズラックに限らず「薄型」というだけでスタイリッシュなイメージがあるので、デザイン性を高めることができますね。

 

■超極薄スマホリング

スマホにスタンド機能を持たせるためにリングが役立ちますが、どうしてもその厚みが邪魔になることがあるでしょう。

超極薄のスマホリングなら、そのような精神的な「不満」を解消するのに役立ちますね。

 

■NIKEの厚底シューズ

NIKEの厚底シューズはフルマラソンでの新記録を打ち立てました。箱根駅伝でもNIKEの「ズームXヴェイパーフライネクスト%」が使用され、記録更新に貢献しています。

軽いほど良さそうなランニングシューズにおいて、あえて底を厚く重くしながらもその構造によって走りのフォームをサポートしています。

単に見た目のインパクトで厚くしただけならあまり売れなかったでしょうが、求められる機能を追求した結果として厚くなったため驚くほどの結果につながりました。

 

■極圧の敷布団

通常の敷布団より厚くすることで、床付き感や底冷え感を解消できる布団です。

これも意味なく厚くしているわけではなく、通常の敷布団に不満を感じている人の「不」の解消につながるから売れているわけですね。

 

■極圧カーペット

カーペットを通常より厚くすることで、子どもやお年寄りが転んでもケガをしにくく防音効果も高まっています。

全ての人に良いとは限りませんが、特定の「不」を持っている人にとってはこの厚みが選ぶ理由になるから売れるのです。

 

次回は進化思考の「変異1:変量」の続きをさらに見ていきますね。

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