前回は洗顔料市場に参入するためのマーケティングの考え方について書きました。
まずは市場にどんな商品があるのか調べるところがスタートです。
市場分析をある程度行ったら、次に自社は「誰に、どんな価値を提供するか?(WHOとWHAT)」を考えます。
下のフレームワークの順番の通りです。
1. ゴール・目的設定
2. 市場分析
3. WHO(誰を対象にするか?)
4. WHAT(どんな価値を提供するか?)
5. HOW(具体的にどうするか?)
ではどうやってWHOやWHATを決めていくのか。
今回はここからお伝えしていきますね。
WHO/誰を対象にするか?
まず、どんな人を対象にするか考えてみます。
そのためのヒントとして、人は何のために洗顔という行為を行うのか、その「目的」を考えてみます。
目的は前回の市場調査の結果からある程度推測することができますね↓
「洗顔料」の市場リサーチ
・形状(固形石けん、ジェル、クリーム、泡、パウダー、ミスト)
・特徴のある訴求成分(泥、炭、酵素、炭酸泡、ヒアルロン酸、重そう、米ぬか、マイナスイオン、シルク)
・主な効果や悩み(毛穴、角栓、皮脂汚れ、テカリ、黒ずみ、くすみ、乾燥、ニキビ)
・他の特徴(弱酸性、エイジングケア、敏感肌、無添加、糖化に着目など)
ここから推測すると、洗顔するのは下のような理由がありそうです。
✔️ 毛穴や皮脂などの汚れを落としてきれいに見せるため
✔️ 顔の乾燥、テカリ、くすみ、ニキビを抑えてきれいに見せるため
要するに、洗顔する理由を一言で言えば「顔をきれいに見せるため」ということです。
シンプルに言えばそれだけです。
そして顔をきれいにする手段として、泥や炭が入っていたり、敏感肌の人でも顔をきれいにできるように無添加があったりするのです。
顔をきれいにしたい「本音」は何?
そして、なぜ顔をきれいに見せたいか、その「本音」を探ると例えば下のようなことがあるでしょう。
✔️ 異性にモテるため。
✔️ きれいな母親・あるいは妻だと家族に思われるため。それによって自分の自信を高めたり、家族との関係を良好に保ったりするため。
✔️ スキンケアに気を使っている人だと同僚や後輩やお客さんなどから思われることで、周りからの信頼を得るため。
✔️ いつまでも若々しくいることで自分に自信を持つため。
これらは顧客が口には出さなくとも、心の奥で、無意識に感じている本音です。
マーケティングではこのような顧客の無意識の深層心理を「インサイト」と呼びますね。
インサイトをうまく突ける商品は顧客から選ばれやすくなるのです。
目的が先、手段は後
結局、「何のために洗顔料を使うのか?」というと、モテるため、人との関係を良好に保つため、自分に自信を持つため、ということになるのです。
洗顔料の表面上の訴求では「毛穴をきれいにします」「ニキビを予防します」「エイジングケアします」などと言っていますが、それらは表面の話です。
顧客は心の奥の本音では、毛穴をきれいにしたいのでも、ニキビを予防したいのでもありません。
人との関係を良くしたり自分に自信を持ったりしたいのです。
それが洗顔料を使う「目的( WHAT)」であり、洗顔料自体や成分や形状はその「手段(HOW)」です。
どんな洗顔料をつくろうか考える時、こんな成分が良い、形状はクリームが良い、パウダーが良い、などは全て「手段(HOW)」の話です。
ここからスタートして売れる商品はできないのです。
まずは誰に、どんな価値を提供するか(WHOとWHAT)を明確に定めて、次にその価値を提供するために最適な手段(HOW)を選ぶのが順番です。
考える順番を間違えると再現性高く売れる商品を作ることはできません。
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次回はWHOとWHATをさらに深掘りしていきます。
本来、これら2つのテーマだけでも本が数冊書けるくらいとても奥が深い話なのです。
実際、WHOをテーマにした「ターゲティング」「顧客のズラし方」「リサーチ法」などの本もあれば、WHATをテーマにした「ベネフィット」「インサイト」「価値作り」「JOB理論」「コト消費」「意味のイノベーション」などの本もあります。
全て書くと長くなりすぎるので、ポイントを絞って大切な「考え方」をお伝えしていきますね。