「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」が人気です。
缶ビールなのに、まるでジョッキから注いだかのような豊かな泡立ちが最大のポイントです。
この開発ストーリーを知ることで、他の商品の開発のヒントになるかもしれないですね。
「生ジョッキを家で飲みたい!」
商品開発のきっかけは「生ジョッキを家で飲みたい!」というお客様の声でした。
このような声は以前からあったものの、コロナで家飲みが増えたからこそ声が大きくなったようですね。
そこで担当者が開発しようとしたものの、そもそもフタを開けたときに吹きこぼれることを防ぐため、缶ビールは「泡を出さない」ように作られているようです。
開発時にこれまでの「常識」をひっくり返す必要があったのです。
そこで諦めずに試行錯誤を繰り返した結果、まるでジョッキから飲むような缶ビールを実現することに成功しました。
完成したビールの中身はこれまでのスーパードライと一緒です。違うのはビールを入れる「缶」ですね。
生ジョッキ缶はフタを全開できるようにしており、缶の内側のクレーター状の凹凸から泡が立つ仕組みです。
これによって開封しても吹きこぼれず、かつ通常の缶より泡が立つビールを作ることができたのです。
マーケティング思考
マーケティングで考えると、まずWHOとWHATが決まっていました。
対象は「自宅でビールを飲む人」で、提供する価値は「生ジョッキの気分を味わえる」ことですね。
「家でお店の生ジョッキの気分が味わえる」がコンセプトです。
「顧客からスタートする」のはマーケティングの基本ですね。
そして、これを実現するHOW(手段)として缶の形状を変えたのです。
「進化思考」でいうと、商品の形状を変えるのは「変量」の発想ですね。
ただ、缶の形を単純に厚くしたり薄くしたり下のではなく、もっと複雑に変形させています。
これは開発者の方々が相当な苦労をして実現させたようですね。素人の単純な発想で実現できるものではありません。
しかし、「お客さまをワクワクさせたい」という思いはマーケティング担当者も開発者たちも共有していて、だからこそ今までの常識をひっくり返す高難度の商品を作ることができたのです。
活かせるポイント
このような大企業の事例は、個人や中小企業などがあまり真似できるものではありません。
事例を知ったからといって再現できるものではないし、顧客の声を実現するために開発に莫大な費用や労力をかけ続けることもできないですね。
ただ、どんな商品やサービスを開発するにも下の3点は活かすことができますね。
- 顧客の声からスタートする
- 常識をひっくり返す必要があるなら、諦めず試行錯誤して突破する
- チーム全員で思いを共有
顧客の声からスタートしなければ売れる商品はできませんし、ありきたりな商品では他社に簡単に真似されます。
それに、開発に携わるチームで別の方向を向いていたら、特に顧客より自分の利益中心に考える人が混ざっていたら、開発はうまくいきません。
これらが全て組み合わさることで面白い商品ができるんですね。