赤い食品vs緑の食品-生物進化に見る栄養学/アンチエイジング実践講座

健康やダイエットのために食事に気をつけている方は多いでしょう。

1日3食、タンパク質・脂質・炭水化物をバランスよくとりましょう、というのが栄養学の基本です。でも、そこには大事なポイントが抜けているのです。

今回はその一つ、「食品の加工度」について私がスタンフォードの栄養学のコースなどから学んだ内容のお話です。

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いくら食事のバランスに気をつけていても「加工度」という視点が抜けていると、早く老けたり糖尿病や認知症など病気の発症にもつながりやすくなってしまいます。

【緑の食品vs赤い食品】

まず「緑の食品」とは、栄養豊富で自然に近い食品を指します。野菜やフルーツなどがいい例ですね。

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一方の「赤い食品」とは、栄養が少なく、高温や添加物などで加工された食品を指します。ファストフードがいい例ですね。

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ここでいう「緑」や「赤」は食品の色ではなく、信号の色のようなものです。

「緑は進んで良い」なので積極的にとって良い食品で、「赤は止まれ」なので控えるべき食品ということです。

「赤い食品」は肌や内臓の老化を加速させたり、肥満、糖尿病、うつ病などにもつながりやすくなる食品です。

【赤い食品】

「赤い食品」には下のような特徴がありますね。

・高塩分

・高糖分(砂糖、果糖ぶどう糖液等など)

・高脂肪

・でも低栄養(ビタミン、ミネラルなど)

例えば、下のものが「赤い食品」の例です。

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甘い清涼飲料水

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フライドポテト、ポテトチップス

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ピザ

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ラーメン

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唐揚げ

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甘いお菓子(クッキー、ドーナツ、キャンディーなど)

【赤い食品との付き合い方】

「赤い食品」はおいしいものばかりですね。

ここで大切なのは、「赤い食品」を完全になくすことがお勧めなわけではありませんし、赤い食品は悪だというわけでもありません。

健康的なライフスタイルに大切なのは、何が「赤い食品」なのかに気付けるようになって、食事から「赤い食品」を減らしていくということです。

完全になくすとストレスでかえって体調を崩すこともあるので、適度な量に抑えましょう。まずは何が「赤い食品」なのか気づく視点を持つこと。それが第一歩となりますね。

次回は「緑の食品」についてさらに詳しく見ていきますね。

【おまけ:進化生物学と栄養学】

そもそも、なぜ私たちは「高塩分」「高糖分」「高脂肪分」の食品を欲しがるのでしょう?

それにはヒトの「進化」が関係しているんです。

人の脳は「高塩分」「高糖分」「高脂肪分」の食品を食べると快感を感じるようにできています。おいしく感じてもっともっと欲しくなる、ということです。

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かつて人類が狩猟採集生活をしていた頃は、「塩分」「糖分」「脂肪分」はとても貴重なものでした。

それらは体に必要ではあるものの、いつでも簡単に手に入るわけではありません。だから見つけたらここぞとばかりに積極的に食べていたわけですね。

でも現代人は脳はかつての人類とほとんど変わっていないのに、環境は激変しています。

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「高塩分」「高糖分」「高脂肪分」の食品はむしろ多すぎる(食品業界が意図的に作っている)ので、本能のままに食べていたら体に不自然なほどの負担をかけ体が壊れてしまうんです。

加工による化学変化

でも、昔の人類も食べていたほとんど加工していない食品「緑の食品」は体への負担ははるかに小さくなります。余計な添加物や大量の調味料が使われていないので体への負担は小さくて当然です。

「赤い食品」には多くの調味料や添加物が加えられていることがあり、高温調理によって栄養素が壊れて別の物質へと化学変化しているものもあります。それが体の反応を変えるんです。

たとえば「炭水化物」をとるにしても、カレーに入れて煮たじゃがいもからとるか、高温で揚げたフライドポテトからとるかで、栄養素は変化します。

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じゃがいもなら、なんでも同じではないのです。食品としては同じものでも調理の仕方で栄養素も体の反応も変わります。

栄養はただ成分やバランスだけを考えれば良いのではありません。自然に近いか加工(不自然)かも、大事な視点のひとつなのです。

「塩分」「糖分」「脂肪分」を求めるヒトという生物の性質は、進化の過程で育まれてきたものなんですね。

「進化の視点がなければ、生物学の知識は意味をなさない」ー進化遺伝学者 テオドシウス・ドブジャンスキー

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