商品やサービスを他社と差別化する場合、どのような方法があるでしょう?
40代女性向けのエイジングケア美容液、30代男性会社員向けのビールなど、年齢や性別で分けるでもグラフィックな差別化もありますね。
しかし、このような分け方では結局他社と同じような発想になり、同じような商品やサービスしか生まれません。
しかし、たとえば商品やサービスを「使う場面」で分けた場合、これまでとは違うアイディアを生み出すことができるのです。
実際、場面による差別化で売り上げを伸ばしている企業が増えています。
今回は売れるアイディアを生み出す「場面の差別化」を見ていきますね。
「ストーリー」に引き込むカクテル
koyoi(コヨイ)というカクテルは数種類の味がありますが、その特徴は味よりも説明書きです。
「主人公が再び友人に会って話をすることを決意したシーンで、一旦文庫本を置いた。」「koyoiが、口の中で華やかに広がる。」
お昼時に庭でゆったりくつろぐ場面、昔懐かしい夏祭り、キャンプで友人と焚き火を囲む場面などを描き、それに沿ったストーリーに商品を組み込むのです。
恋の甘酸っぱさを表現したカクテルや、夏祭りのりんごあめをイメージしたカクテルもあります。
味や機能で他との違いを出そうとしても、もはや大きな違いは作れません。
しかし、ある特定の場面で繰り広げられる独自のストーリーに消費者を引き込むことで、他との違いを作り出せます。
機能による差別化ではなく、感性による差別化をしているのです。
「時間」で生活を演出する
HINEMOS(ヒネモス)という日本酒のブランドは、時間ごとに適した日本酒を販売しています。
食事を始める午後7時はスパークリング、メインディッシュを迎える9時は華やかな香りの純米吟醸、仕事や家事から解放されてホッと一息つける0時は甘いお酒、といった感じです。
飲むタイミングの食事や生活の場面と味をリンクさせているのです。お酒を選ぶ基準を味や好みやブランドから、「場面」へとシフトしているんですね。
uka(ウカ)のネイルオイルにしても、使う時刻を商品名につけ場面設定しています。
ネイルをきれいに保つために、1日のうちにネイルオイルをつけてほしい「7:15」や「18:30」などの時刻を商品名につけています。
香りもその場面に合わせました。
「18:30」は仕事を終え急いでデートに向かう状況を設定。メイクを直す暇はないけれど、サッと塗るだけで女性らしさを取り戻せるようローズとジャスミンの香りにしてあります。
「選び疲れた」消費者を導く訴求
現代は情報が溢れ、同じような商品も溢れ、消費者はどれを選べば良いか分かりにくくなっています。選ぶ時間もないし、そもそも細かい情報を比較して選ぶのはメンドウです。
それならば、消費者に時間と手間をかけて選ばせず、メーカーが選んであげることもできるのです。
この場面にはこれが良いですよ、あなたにはこれが良いですよ、と素人である消費者をプロが導いてあげるのです。
「女性用 30代からのサプリメント」などを展開するファンケルのサプリも、まさにプロが素人を導いてくれる例ですね。
情報が溢れる現代だからこそ、機能による差別化は機能しづらくなっています。
場面で分けたりプロが導いたりすることでうまく消費者の心をつかめば、「選び疲れた」消費者に刺さる訴求を作り出すことができますね。