売れる「枕」のマーケティング/「良い商品」だけでは売れない

枕といえばいろんな種類が溢れていますが、一見同じようなものばかりです。その中で「売れる枕」を作ることはできるのでしょうか?

今回は枕について考えてみます。

そもそも枕は何のため?

そもそも、人はなぜ枕を使うのでしょう?

その主な「目的」は「ぐっすりと眠ること」でしょう。この「目的」を達成する「手段」としての枕には、下のような機能があると良いですね。

ーーーーーーーーーー

★自分の体型に合う(高さ調節可能)

★横向きでも寝返りしても常にフィットする(体にフィットする形状)

★暑くても蒸れずに快適(通気性が良い)

★常に清潔に保てて快適(まるごと洗える、抗菌防臭)

ーーーーーーーーーー

求められる機能があれば売れるのか?

これらの機能を全て備えたら、売れる枕ができるのでしょうか?

ある程度は売れるかもしれませんが、似たような枕が多い中で際立つことは難しいでしょう。結局は他社の二番煎じ三番煎じに過ぎません。

ではどうするか?

そもそも、世の中にはどんな寝方をする人がいるのか、どんな悩みを持つ人がいるのか?枕を使う顧客から考えます。

それによってできた枕には下のようなものがありますね。

枕を使わない人の枕

ぐっすり眠るために枕という手段は絶対必要なものではありません。枕なしで寝る人も多いのです。

そのような人はタオルを使うことが多いですが、タオルを睡眠専用にすることで、タオル派の人の眠りをより快適にすることができるのです。

「枕を売る」と考えず「快適な睡眠を売る」と考えると、そのための「手段」は枕である必要はないのです。

「手段」にこだわって肝心の目的を見失わず、常に目的の実現を考えると良いですね。

 アングルピロー 角度付き枕

寝ることで胃酸が逆流する「逆流性食道炎」の人は、一般的な枕で寝るのはつらいのです。そのような人に特化した傾斜のある枕は悩み解消に役立ちます。

このように特定の悩みを持つ人に特化させることで、対象となる人の数は減るでしょう。しかし、その特定の悩みを持つ人は特定の特徴を持った専用品があれば、それを選んでくれるのです。

無理して「ふつうの枕」を選ぶ理由がありません。

ビジネスの鉄則は顧客の「不の解消」です。「不」とは、不満、不便、不都合など、何らかの悩みのことですね。

特定の悩みを持つ人がいて(需要があり)、その解決策がない(供給がない)ところ、つまり需給のバランスが崩れているところを見つけたらそこが狙い目です。

他社と競争する必要がなくなるのです。

このように全ての人を対象とせず、◯◯専用としてあえて尖りを持たせることで売ることもできますね。

The cubes 無重力枕

この枕は小さなサイコロ状のスポンジが効果的に働いて、肩や首の痛みを和らげてくれるようですね。

首や肩の痛みをやわらげることで快眠へと導く枕は他にもありますが、その目的を実現する「手段」が他とは違ってユニークなのです。

このように、同じ目的を達成するにも「手段」を変えることで、他より優れているかのように見せることが可能です。

実際に優れているかどうかは使う人によって違い使ってみるまでわかりません。しかし、優れているように「見える」ことは初回購入を促す上で非常に重要なポイントなのです。

リピートではなく初回購入に限っていえば、売れるのは「良い商品」ではありません。「良く見える」商品が売れるのです。

枕を考えてみるだけで、マーケティングを学ぶことができますね。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事