太刀川英輔さんの「進化思考」は、生物進化の「変異」と「適応」を創造のヒントにする考え方です。
この進化思考を活かすことで、これまでにない商品やサービスのアイディアを生み出しやすくなるのです。
今回はこの進化思考から「変異9:融合」の発想で生み出せる商品の具体例を見ていきます。
「融合」とは他のものと組み合わせることですね。
この「融合」の発想でこれまでにない商品アイディアを出すことも可能です。下で具体例を見ていきますね。
前回の記事はこちら↓
めぐりズム/アイマスク+カイロ
季節を問わず売れ続けるめぐりズムは「アイマスク+カイロ」の融合です。組み合わせはシンプルですが、ここから得られる効果はとても大きなものがありますね。
アイマスクで目を覆うことで光が遮られるので、必然的に目を閉じて休むことになりますね。目を閉じるだけでも副交感神経が活発になって、目と脳が休まります。
さらにカイロの温感をプラスすることで目の周りの血行が良くなって、さらに目の疲れが癒やされます。目の疲れは脳の疲れと直結しているので、自然と頭もスッキリさせることができますね。
光を遮って温めるという単純な仕組みですが、日常的に目を酷使する私たちの生活にはぴったりの商品なのです。
「目的」で「参照価格」が変わる
さらに最近では使い捨てではなくUSB充電式もあり、目元を温めることを毎日の習慣として取り入れやすくなっています。
下のアイマスクの定価は約2,500円ほどですね。
スチーム機能、アロマ機能、マッサージ機能、音楽機能まで追加して1万円を超える高機能製品もあり、ますます人気が出ていますね。
下のアイマスクの定価は約23,000円ほどですね。
上のアイマスクの10倍近い価格です。機能はもちろん違いますが、それ以上に使う「目的」が違うのです。
目的を「目の疲れを癒す」ことに向けるのならめぐりズムでも十分ですが、スチームなどを含めて「目元美容」という目的に変換するとさらに価格を高くすることができるのです。
製品自体は変わらなくとも「目的」を変えることで消費者が感じる価値が変わるのです。これこそがマーケティングの面白いポイントです。
目の疲れを癒すことが「目的」なら、競合はめぐりズムなどとなり数百円や1000円くらいが妥当です。
しかし目元を美しく若く見えるようにすることが「目的」なら、競合は美顔器やアイクリームなどとなり1万円を超えても支払うのです。
それぞれで消費者が無意識に参照している競合が変わっているので、参照価格、妥当だと感じる価格が変わるんですね。
同じものでも消費者により価値を感じて高い価格でも買ってもらうために、「どう見せるか」はマーケターにとって非常に大事なポイントなのです。