売れる「目覚まし時計」を考える/マーケティング思考入門

目覚まし時計といえば、言ってしまえば「ただ音の鳴る時計」です。

もはやコモディティと化していて、ちょっと形やデザインを変えたくらいでは売れません。では、どうすれば良いのでしょう?

光で起こす目覚ましライト

まず、市場にどんな目覚まし時計があるのか調べるところから始めます。調べやすいのはAmazonや楽天ですね。

Amazonで調べてみると、下のような光で起こす目覚ましが人気ですね。目覚まし時計というより「時計機能のついた目覚ましライト」といったところです。


この商品は音や光を調節できる機能、自然の音で起きられる機能、FMラジオ機能もついていますが、それらは売れる一番の理由ではないでしょう。

なんと言ってもこの目覚ましが売れる理由は「時計とライトを融合させた今までにないデザイン」✖️「光で起こす」というポイントでしょう。

なぜ売れるのか?

デザインについては、時計とライトが一体となったことモノが減ってシンプルになります。さらに、このお日さまのようなデザインが今までにないもので、パッと見ただけで目を引く独自性がありますね。

見た目のインパクトは簡単に真似されますが、人に「欲しい!」と思わせる可能性を高められるポイントの一つです。

しかし、デザインはこの目覚ましが売れる理由の一つです。売れる一番の理由は「光で起こす」という機能でしょう。

誰に向けたら売れたのか?

ただ朝起きたいだけの人にとっては、光で起こされようが音で起こされようがそれほど大きくは変わりません。デザインの面白さだけでも買ってくれるかもしれません。

しかし、現代のストレスのせいで不眠に悩んでいる人は違います。

眠れずに辛い思いをしている人は音によって力づくで起こされずに、ぐっすり眠っていたいのです。起こされるにしても、もっと優しく起こして欲しいのです。

光で起こす機能はそんな不眠の人にぴったりです。

さらに、光は体内時計を整え、眠りのリズムを習得させ、睡眠の質を改善させることもできます。

やさしく寄り添う医療器具

つまり、不眠で悩む人にとってこの目覚ましは、単なる目覚ましではなく医療器具なんとしても解決したい悩みの解決策とでも言える商品なのです。

もちろん薬のような副作用はありません。

自然を再現する機能も現代のストレスに悩む人に寄り添った機能です。

眠る時に次第に暗くなり、起きる時に次第に明るくなる。まるで日没と日の出を再現したかの機能。そして小鳥のさえずりなど自然の音。

これは、自然から離れて暮らす現代人にとってはとても癒される機能ですね。

商品の対象顧客を、「朝起きたい人」ではなく「ぐっすり眠りたい人」へと変えたのです。商品の特徴を考えて、その価値を最も喜ぶ人に向けて伝えたのです。

だからヒットしたんですね。

この商品を企画した人は相当クリエイティブな人ですね。クリエイティビティ、創造性が高いとヒット商品を生み出せる可能性が高まります。

この商品がまさに好例ですね。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事