前回はマーケティングで価値を作るために役立つ「価値の4象限」についてお伝えしました。
この考え方を応用できると、商品やサービスを作るときに価値を作りやすくなるのです。
ただ、実際に商品を作るときに4つの価値すべてを使うわけではありません。
「ネジ」や「スティック糊」に評判価値や共感価値を求めることはないですね。
自分の作る商品の価値を決めるには、どんな価値が必要なのか?
今回は価値の決め方と事例を順に見ていきますね。
顧客に聞く
商品の価値を決める大前提として「顧客に聞く」のが鉄則です。
価値を販売者が勝手に決めても、顧客に合う場合もあれば、合わない場合もあるのです。
むしろ合わない場合の方が多いでしょう。それでは売れる「確率」は上がりません。
売れる「確率」を上げるためにも、どんな価値が求められるのか顧客に聞くことが必要です。
ただ実際のところ、「聞く」というのは比喩表現です。
アンケートを取ったりインタビューしたりしても、相手が望む価値を素直に答えてくれるとは限りません。
本当に望む価値は相手自身も気づいていないことも多いのです。
そのため、マーケターはどんな価値が求めらるのか「顧客に聞く」というよりも、顧客との対話を通して求められる価値を「見つけ出す」と言った方が適切です。
「買う理由」「買わない理由」
顧客と直接話す中で、ある商品を「買う理由」「買わない理由」を聞くこともあるでしょう。
この「買う理由」「買わない理由」の裏にこそ、その商品の価値が隠されているのです。
たとえば、働く女性に向けてのスキンケア商品を開発したとします。
あるクリームを「買っていたけれどやめた」理由として、「最低限のケアはしたいけれど、朝は時間がないから手間がかかるのはめんどくさい」という意見があったとします。
「買っていたけれどやめた」理由は、「買った理由」と「買わない理由」の組み合わせなので、とても有益な情報です。
ここから、働く女性は「最低限のスキンケア」を求めていると同時に「時短」という価値も求めている、などの仮説が導けます。
顧客の声をデータで検証
ただ、顧客から意見を聞いた場合、もしかしたらそれはその人だけの意見かもしれません。
他の人にも当てはまるかまだわからない状態です。
そこで、このような意見がどの程度当てはまるのかを「数字」で確認する必要がありますね。
「ミルトーク」などのアンケートツールを使ったり、自社のお客さんにメールやLINE公式アカウントなどでアンケートをとっても良いでしょう。
あるいは、FacebookやTwitterなどを使って友達やフォロワーにアンケートを取れるかもしれません。
このように顧客から見つけた仮説を数字の裏付けをとることで、その仮説の妥当性を高めることができますね。
「共感価値」を生み出した商品
ちなみに、「最低限のケアはしたいけれど、朝は時間がないから手間がかかるのはめんどくさい」という意見をもとに作られた商品がありますね。
それが朝用マスク「サボリーノ」です。
「キレイでいたい、そのためには手間が必要」でも「本音ではサボりたい」という顧客の本音(インサイト)を突いた商品です。
お客さんが直接「サボりたい」と言ったのかもしれませんが、マーケターがお客さんの「言葉に出ない本音を見つけた」のかもしれません。
その本音を商品化したのです。
機能としては「洗顔+スキンケア+化粧下地」をセットにしたオールインワンマスクです。
この機能をそのまま訴求せず、朝用マスク「サボリーノ」というネーミングとそれに適したパッケージにすることで、「女性としてきれいではいたいけれど、毎朝忙しいので本音では面倒なスキンケアをサボりたい」という人たちの共感価値を作り出しているのです。
「そうそう!こういうのが欲しかった!」という女性がたくさんいたので大ヒットになりました。
今ではシリーズ化して多くの商品展開をしています。
機能で他の商品と差がつかなくとも、共感で差がつけば圧倒的に売れることがあるのです。
サボリーノは共感価値を作り出した素晴らしい例ですね。