「進化思考」で売れる商品を考える/変異1:変量No.2

太刀川英輔さんの「進化思考」は、生物進化の「変異」と「適応」を創造のヒントにする考え方です。

この進化思考を活かすことで、これまでにない商品やサービスのアイディアを生み出しやすくなるのです。

今回はこの進化思考から「変異1:変量」の発想で生み出せる商品の具体例を見ていきます。

変異の種類

 

前回は進化思考の考え方の中から「変量」を使った商品を紹介しました。

 

今回も「変量」の続きです。

「長く」「高く」してみる

■長い自撮り棒

通常の自撮り棒より長くすることで、まるで空撮しているかのような映像を撮ることが可能です。

ちょっとした工夫一つで表現の幅をグッと広げることができますね。

 

■長いUSBケーブル

天井にカメラを吊り下げてコンセントまで繋げたりミニバンの前後に届かせたりするために使われます。

自分が使わないから必要ない、という発想ではこのようなものはできませんね。でも、顧客の声を調べてみることで「長さが足りない」という声が見つかり商品化につながったのでしょう。

 

長いモニター

ウルトラワイドモニターは複数画面を同時に開いて見られるのが強みです。オフィスワークの効率を高めてくれますね。

また湾曲したモニターはゲームの臨場感を高めてくれるのでゲーム好きにも人気です。

「軽く」してみる

■指一本で持ち上げられる椅子

1957年発売のスーパージェレーラという椅子は、子どもでも片手で持ち上げられるほど軽いとして話題になりました。現在でも売れ続けるロングセラー商品です。

超軽量で椅子の機能美を極限まで追求し、無駄を徹底的に削ぎ落としたデザインです。キャッチコピーなしで写真のみの当時の広告は、直球で訴えるところが良いですね。

 

■軽量マウス

本体に穴を開けることで軽量化したマウスです。これを誰が買うのかといえば、マウスの動きの速さを求めるゲーム好きの人ですね。

デザインだけで見たら必ずしも売れなさそうですが、特定の人の、特定の状況で求められる機能を追求した結果のデザインです。

このような「特定の人が、特定の状況で求めるもの」を、ジョブ理論では「片付けたいジョブ」と呼んでいます。

売れる商品を考えるヒントに溢れた本ですね。

 

■重力を消し去るバッグ

Newtonというシリーズのバッグは、その特殊な構造によって重力の感じ方を分散させる効果があります。

その結果、荷物の重さを感じにくくなる不思議な力があるのです。体の負担を減らして疲れにくくしてくれますね。

バッグ自体を軽量化しなくとも、「感じ方を軽量化する」という発想がすごいですね。

「速く」「遅く」してみる

■速乾シャンプー/速乾ヘアブラシ/速乾タオル

シャンプーの成分が髪をコーティングして、ドライヤー時間を減らしてくれる速乾シャンプーです。

また、ドライヤーの熱を通しやすくする速乾ヘアブラシや、水分の吸収性が高い速乾タオルも併用すると、髪をさらに速く乾かし時短を実現することができますね。

 

■断熱 保冷・保温タンブラー

ガラスを二重にした断熱効果のあるグラスです。

温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいまま温度を保ちやすくしてくれます。言い換えれば、中身の「温度変化を遅くするグラス」ということですね。

この他にも「保温弁当箱」「断熱カーテン」なども温度変化を遅らせる効果がありますね。

 

■バナナスタンド

バナナスタンドを使うとバナナの寿命が伸びて腐りにくくなりますね。

バナナの劣化スピードを遅くする商品です。

「柔らかく」「固く」してみる

ぬれおかき、せんべい

通常は固い「おかき」や「おせんべい」を、あえて濡らしてやららかくした商品です。

やわらかくすることで新しい食感のお菓子になり、新規性が増し新たな顧客もできました。

 

■鼻セレブ

通常のティッシュの柔らかさを増すことで、ティッシュをよく使う鼻炎や花粉症の人でも鼻が痛くなりにくいティッシュです。

ティッシュ自体の肌触りも良くなったので、プレミアム感が出て価格アップも実現しました。

 

■固いグミ

歯医者さんが作ったデンタルグミです。

普通のグミより固く噛む力を鍛えるグミですね。歯医者さんが作ったという権威性も追加され、子どもの歯を気遣う母親に人気ですね。

 

■固いプリン

名古屋コーチンの卵を使ったカステラのように固いプリンです。

固くすることでこれまでのプリンにはない「もちもち新食感」を実現して、プレゼントにも人気ですね。

 

 

進化思考の一部を使うだけでも売れる商品のアイディアを出すことは可能ですね。

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