今までにない新しい商品やサービスを作る場合、これまでの商品と大きく違うものが必要ですね。
しかし、違うといっても何をどう変えれば良いのかすぐには思いつかないのが普通です。
それは私たちが「常識」や「固定観念」にとらわれて目の前のものが見えなくなっていること原因です。
実際に目の前にあるのに、目では確かに見えているのに、頭が邪魔して正しく解釈ができないのです。
今回はそんな事例についてアートを元に考えてみます。
私たちの周りには「見えているのに見えないもの」「透明なもの」があるのです。
それが「見える」ようになると、他の人とは違う視点を持つことができるのです。
スティーブ・ジョブズのいう"Think Different"の元は人とは違う視点にありますね。
『イメージの裏切り』/これはパイプではない
ルネ・マグリットという画家の『イメージの裏切り』という作品があります。
このパイプの絵の下にはフランス語で「これはパイプではない」と書かれています。
見た目は一見パイプですが、なぜパイプではないと書かれいるのか。
答えは単純。これはパイプではないからです。
なぜなら、これはパイプの「絵」であって、あるいは絵の具を乗せた「キャンバス」であって、パイプそのものではないからです。
「実物」を見ていない
私たちは絵画を見るとき、絵そのものではなく「描かれているもの」を見ています。
目に写ったそのものではなく、頭の中にすでに出来上がっているイメージを見ているのです。
この頭の中に出来上がっているイメージを「偏見」「常識」「固定観念」などと呼ぶこともありますね。
「実物」と「イメージ」が一致することもありますが、マグリットの絵のように「実物(絵の具とキャンバス)」と「イメージ(パイプ)」がズレる場合もあるのです。
アートには私たちが「透明なもの」として見過ごしているものに改めて気づかせてくれる力があるのです。
『空間概念 期待』/切り裂かれたアート
ルチオ・フォンタナの『空間概念 期待』という作品もそうですね。
フォンタナの絵ではカンバスが切り裂かれています。
これによってカンバスの存在が浮き彫りにされ、カンバスこそが作品の主役になっているのです。
普段は意識することのないカンバスという素材を、強制的に意識させているのです。
目に写ってはいても見えていなかったものを、アートの力で見えるようにしているのです。
世界を違う視点で見る
このようなアートに出会うことで、私たちは日々見過ごしている「透明なもの」に気付きやすくなります。
「当たり前」だと思っていたものを疑えるようになるのです。
アートは世界をこれまでとは違う視点で見えるようにしてくれるのです。
他の人が見過ごしている世界の価値を見出せるようになることが、新しい価値を生み出す豊かな源泉になりますね。
常識や偏見を取り去っての思考を強制的に変えるには、「進化思考」も有効です。
アートとは違う方法で、世界を違う視点で見る手助けをしてくれますね。