マウスといえば、もはやコモディティ以外の何者でもありません。
マウスなんてどこにでも売ってるし、どれもたいして変わらないし、わざわざこれから本気で売っていこう、というようなものでもないでしょう。
市場は飽和状態でライバルだらけ。差別化は難しい。価格競争して大手に勝てるものでもない。そう簡単に売れるものではありません。
だからこそ、マーケティングの素材として使えるのです。
今回は「売れるマウス」について考えてみます。
それではさっそく始めます。
目次
「ユニクロ」をマネしてみる
まず、どこにでもある「ふつうのマウス」を作ったところで売れません。
マウスの機能なんて、せいぜいクリックとスクロールくらいです。それと同じマウスならあとは形や色や大きさが違うくらいでしょう。
ではどうするか?
ここでは「ユニクロ」を参考にしてみます。
ユニクロがいい例ですが、服を「機能性」と「デザイン性」の2つの軸で差別化しているんですね。
「機能性」でいえば「エアリズム」や「ヒートテック」。
「デザイン性」でいえば「UT」があるでしょう。
マウスも同じように「機能性」と「デザイン性」で考えてみます。
求められない機能はムダ
ただ、「機能性」の高いマウスといったところで、求められる機能はせいぜい「クリック音が静か」「ワイヤレス」くらいでしょう。
それ以上つけたところで「余計な機能(ムダ)」なだけなので、売れるマウスはできないでしょう。
少ない機能でユーザーが十分満足できるものに、余計な機能を追加しなくてもいいのです。
たとえば、時計機能、タイマー機能、音が鳴る機能などをつけたところで、本質的な用途から外れたただの飾りにしかなりません。
それならば、「機能性」は一旦あきらめて「デザイン性」を重視してみるといいですね。
カッコいいマウス
他にはなかなかない「カッコ良さ」を高めるならば、下ようなデザインもあるでしょう。
「人とは違うものを使いたい」「オシャレでカッコいいものが欲しい」という人には売れる可能性がありますね。
機能としては他と変わらなくとも、「置いておくだけで気分が上がる」「これを使っている自分が好き」「周りから注目されたい」というような、より高次な欲求を満たすことができるのです。
アートなマウス
さらに、マウスのほとんどは「無地」ですが、そこに「絵」が入っても面白いでしょう。
ユニクロのTシャツでもそうですが、無地ばかりが売れるわけではありません。何らかの絵や文字を使って「デザイン性」を高めることでさらにおしゃれ感が増しますね。
売りたいものの「周辺」まで視野を広げる
それに、「絵」があるのはマウスだけである必要はありません。
マウスパッドにも「絵」を入れてさらにPC周りを楽しく演出することもできるでしょう。
まるで絵画のようなマウスパッドもありますし、ゲームをさらに盛り上げる幻想的なマウスパッドもありますね。
マウス自体パソコンの周辺機器の一つですが、そのさらに周辺にも世界は広がっているのです。それらを含めて全体で「世界観」を創ることも可能でしょう。
マウスを売るのに『マウスだけ』を考える必要はありません。その周辺にあるもの(マウスパッドなど)とトータルで考えると、さらにアイディアは広がります。
Snow Peak/スノーピーク式
複数の商品を組み合わせて世界観をつくるのは、アウトドアブランドのスノーピークも一緒ですね。
スノーピークは製品だけを作る会社ではありません。実現したいコンセプトや世界観が先にあり、それを実現する手段として製品やサービスを作っています。
椅子やテーブルなどのデザインや高さを揃え、組み合わせて使うことでスノーピークの世界観を表現することができるのです。
製品単体の「機能」を売っているのではありません。
その製品の「周辺」と組み合わせることで生じる「世界観」「体験」を売っているのです。
「機能訴求」から「感性訴求」へ
アートなマウスでもマウスパッドでも、いずれも「機能の高さ」はここではどうでも良いのです。
それよりも、「好きな世界観に浸れる」「使うことが楽しい」「気分が上がる」「自己表現できる」などより高次な欲求を満たせるところがポイントです。
「機能訴求」ではなく「感性訴求」の要素を入れるということです。
タウリン◯mg配合、滋養強壮に、といった機能訴求ではなく、「翼を授ける」というのも感性訴求の一つです。
「いろはす」という水が売れているのも、機能ではなく感性に訴求しているのが大きな要因の一つでしょう。
機能ばかりに注目してもユーザーの高次の欲求は満たせません。欲求を満たしたつもりが、実は満たされずに放置されている欲求がまだ眠っていることはあるのです。
競争するな!
それに、マウスのように機能が限られていて、それ以上の機能を求められていないなら、機能で勝負する必要はないですね。
機能は「ある程度」満たした上で、デザインやアートセンスなどの「別軸」で考えてみると他社と競争する必要がなくなります。
マウスに限らず、他社と競争して勝つという発想ではなく、「どうしたら競争しなくて済むか」を考えた方がずっとも売りやすくなりますね。
「競争するな!」というのが競争戦略の鉄則です。
ぜひマーケティングの参考にしてみてくださいね。