太刀川英輔さんの「進化思考」は、生物進化の「変異」と「適応」を創造のヒントにする考え方です。
この進化思考を活かすことで、これまでにない商品やサービスのアイディアを生み出しやすくなるのです。
今回はこの進化思考から「変異6:交換」の発想で生み出せる商品の具体例を見ていきます。
「交換」とは違うものに入れ替えることですね。
この「交換」の発想でこれまでにない商品アイディアを出すことも可能なのです。下で具体例を見ていきますね。
前回の記事はこちら↓
仮想通貨/お金をデジタル情報に交換
「貨幣」は価値を交換するツールです。貨幣を通すことで労働とパンを交換したり、モノとサービスを交換したりできるのです。
その貨幣をデジタルにしたものが「仮想通貨」です。
仮想通貨同士は「交換」可能である一方、自分のものとして「所有」することも可能です。仮想通貨はいわば、貨幣を情報に交換したツールですね。
単なるデジタル情報であればコピー可能なので、通貨としては機能しません。
しかし、ブロックチェーン技術によってデジタル情報を「コピー不可」にすることができるようになったため、通貨として機能する情報が生まれたのです。
さらに、このブロックチェーン技術を使ってアートや音楽などのデジタル情報もコピー不可にすることができますね。
それによって生まれたNFTは、ツイッター社を創業したジャック・ドーシーの最初のツイートが約3億円で落札されたことによって話題になりました。
仮想通貨はメタ(旧:フェイスブック)が注力するメタバースにも関わるので、まだまだ成長途中ですが今後確実に広がっていきますね。
『雇用の未来』/人をコンピュータに交換する
2013年、オクスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は『雇用の未来』という論文を出しました。その中で「10年後には今ある職種の約半分がなくなる」と予言して、世界中から注目を集めたのです。
そして2017年には『スキルの未来』という論文で、「近未来の雇用市場で必要になるスキルとは何か」というテーマに挑みました。
いずれにおいても、社会の変化やAIの進化によって人の雇用の一部はAIに置き換えられる(交換される)というのです。
これで個人や中小企業のバックヤード業務を効率化できるので、浮いたエネルギーでより価値を生むクリエイティブな業務に集中できます。
また、顧客からの質問に応答するチャットボットを使えば、メールや電話対応する社員の数を減らせます。
ドローンを使えば荷物の配達員は減り、自動運転の車でタクシーやバスの運転手は減るでしょう。無人レジが増えればレジの会計係はいなくなります。
しかしその一方で、「これまでにない新しい価値を生み出す仕事」は今後も無くなることがないのです。AIに取って代わられる側ではなく、AIを使って価値を生み出す側ということです。
そこで必要な力こそが新しい価値を創るクリエイティビティであり、市場で受け入れられるように価値を広げるマーケティングの力です。
クリエイティビティとマーケティングは学び続ける価値が非常に高い分野ですね。