「変なホテル」には人がいない/「進化思考」で考える価値のシフト

「変なホテル」をご存知でしょうか?

変なホテルといっても、どこかにある奇妙なホテルではありません。全国展開するホテルチェーンの一つです。

 

出典:変なホテル

 

ちなみに、変なホテルの「変な」の意味は「変なおじさん」の「変な」の意味とは違います。

型にとらわれず「変化し続ける」ホテルという意味です。

 

さらなる快適空間の実現を目指す変なホテルでは、これからも既成概念や決まりきった型にとらわれず、「変」を追求し続けることを約束します。

ー変なホテルHPより

 

この変なホテルは他のホテルにはない特徴があり、それが多くの人たちを惹きつけているのです。

そして変なホテルを作った「考え方」は、売れる商品やサービスを考えるのに応用できる可能性があるのです。

人がいない

変なホテルの特に目立つ特徴は「人がいない」ということです。

まずホテルに入ると、フロントにはロボットが待っています。

出典:変なホテル

 

ここの自動チェックイン機の案内に従ってチェックインを済ませると、あとは誰にも会わずエレベーターで自分の部屋まで移動できます。

クロークもロボットが荷物を預かってくれますね。

変なホテルは世界初のロボットホテルでもあるのです。

また、部屋の前で顔認証すれば、あとは顔パスで部屋に入れます。つまり、鍵がいらなくなるのです。

もちろん緊急時など呼べば人が来て対応してくれますが、呼ばなければ人に会うことなく過ごすことができるのです。

進化思考:変異3-欠失

このようなホテルの作り方は、太刀川英輔さんの「進化思考」の「欠失」に当たりますね。

通常は当たり前にある何かをあえて排除する発想の方法です。

ホテルでは人が対応してくれるのが「常識」ですが、常識を覆し、テクノロジーによって人を排除したのです。

出典:変なホテル

 

この発想によって、今までなかった世界初のロボットホテルができたのです。

変なホテルの提供価値とは?

では、なぜ変なホテルが宿泊客に人気なのか、価値の分類で見てみます。

価値には下の4つの価値があります。

①実利価値/具体的に役立つ価値

変なホテルの場合、おいしい食事やホスピタリティ溢れる接客ではありません。

ここでの実利価値は、人に会わず宿泊できたり顔パスで部屋に入れるなどの「便利さ」がありますね。

②保証価値/安心、安全につながる価値

変なホテルの場合、呼べば人が対応してくれる安心感があります。また、他のホテル同様、清掃や整理が行き届いているので清潔感もありますね。

保証価値については、他のホテルより特に優れいるわけではないようです。

③共感価値/自分の価値観と合う価値

変なホテルの場合、ロボットに接客されるという「面白い体験」が大きな価値になるでしょう。

人に対応されるよりロボットに対応される方が役に立つわけではないため、実利価値ではありません。

しかし、役には立たなくとも「面白い」と思われれば、それが価値になるのです。

④評判価値/自分が人から良く見える価値

変なホテルに泊まった場合、ロボットに接客された「面白い体験」は人に話して盛り上がる話題になりますね。

人に面白い話題を提供できることで、自分自身の人から見た価値は上がります。

「面白い体験」は間接的に評判価値にもつながりますね。

「尖り」で価値をシフトする

これらの中で変なホテルの特に大きなポイントは、「便利さ」と「面白い体験」の2点です。

特にロボット接客による「面白い体験」は、人が接客する他のホテルでは得られない価値であり、ここに変なホテルが売れる秘訣がありますね。

進化思考の視点で常識的な標準装備をあえて無くすことで、このような新しい価値を生み出すことができています。

もちろん、標準装備を無くしながらも提供価値を下げているわけではありません。

一部では多少価値が下がっても(ホスピタリティや食事など)、他の点(面白さ、便利さなど)が上がっているので尖りが際立っているのです。

提供する価値の尖りを競合とズラしている、と見ることもできますね。

他の商品やサービスを作る時にも進化思考の発想は参考にすることができますね。

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