売れない「目覚まし」のマーケティング/競合チェンジの新領域?

SEIKOの「SS501」というスピーカー型の目覚まし時計があります。ONKYOとのコラボ商品で、大画面での時刻表示+上質な音楽で起こしてくれるという商品です。

この商品、機能は高そうですが実はあまり売れていないのです。今回はその理由について見ていきますね。

競合は目覚まし時計?

まず、この目覚ましの一番のウリは「音質」です。一般的な目覚ましのように機械的な音ではなく、スピーカー並みの高音質の音楽で起こしてくれるというのです。

ということは、この商品の競合は目覚まし時計ということです。

競合をスピーカーから目覚ましに変えたコンセプトは、発想の転換、競合のズラしの例ですね。

ただ、そもそも良い音質の音楽で起きたい人がどれほどいるかと言えば、そこまで多くはないでしょう。

スマホでも音楽で起きられますが、スマホの音質で十分ではないでしょうか。

一般的な目覚まし時計よりはもちろん良い音かもしれませんが、価格が約2万円するので目覚ましというよりスピーカーです。

競合、つまりカテゴリーが目覚ましなら音質で勝てますが、カテゴリーが目覚ましなら2万円は高すぎて売れないのです。

競合はスピーカー?

一方、競合がスピーカーとしたら音質で負けてしまいます。

オーディオの老舗Onkyoが認めた高音質」とのことですが、顧客の声からするとそこまで良くもないようです。

音質は目覚まとしては良いけれど、スピーカーとしてはそれほどでもない。

中途半端な設計なのです。

また、大画面もウリにしているものの、大画面だけなら1,000円台のデジタル時計で十分です。大画面の時計に2万円は高いのです。

時計として見たら価格が高い。スピーカーとして見たら音質が気になる。

どことなく軸を定めきれていないチグハグな印象があるのです。

 

コンセプトは、顧客、提供する価値、競合、自社の強みの全てで一貫性を持つことが重要です。商品企画の際にこの一貫性をあらためて考えてみると良さそうですね。

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