現在急拡大中のカフェ「猿田彦珈琲」があります。
「飲むパフェ」や「日本酒の獺祭が入ったアイス」などのユニークなメニューも人気ですが、1番の魅力はなんといっても「珈琲がおいしいこと」です。
豆の調達から、焙煎や抽出まで、すべて自社で行いこれ以上できないというほどこだわってプロが珈琲を淹れています。
その圧倒的なおいしさから人気になり、缶コーヒーを監修したりTVで取り上げられたりもしましたね。
今回はそんな猿田彦珈琲についてです。
「売れる商品」より「最高の商品」
そもそも猿田彦珈琲は、独創的なアイディアやマーケティングで売れたのではありません。珈琲が持つ基本の機能・本質をどこまでも追求した結果、他が真似できないところまで行ったのです。
それが運良く日本コカコーラの缶コーヒー開発担当者に見つかって、缶コーヒーの監修をして人気に火がつくこととなりました。
そもそも、「売れる商品を作ろう」という発想で商品開発をしてはいないでしょう。
「売れる商品を作ろう」という発想ではなく、「最高の商品を作ろう」という発想で商品開発をしています。
その結果お客さんに喜ばれ口コミが広がり、「選ばれる理由」がさらに強化され売れることにつながりました。
もし短期的に「売れる」ことを目指していたら、珈琲のおいしさはほどほどでその他のアイディアに取り組んでいたかもしれません。
わざわざ手間のかかる豆の調達や、プロによる焙煎や淹れ方まで、短期的な利益からは遠いものばかりです。しかしお客さんのことを考えたら、それでおいしい珈琲ができるのなら大きな利益につながります。
短期的な自社の利益より長期的な顧客の利益を優先した結果、顧客の心をつかんで顧客がついてきたわけですね。
素材調達から顧客まで一直線
これは、以前紹介したMinimalチョコレートやELEZO GATE(エレゾゲート)とも似ていますね。
Minimalのチョコレートはカカオ豆の生産から携わり、チョコレート作りも「カカオと砂糖だけ」と最小限の原料で品質を追求しています。
一方のELEZO GATEは猟師を雇い、鹿などの狩猟や解体から管理して最高の食肉づくりをしています。
どちらも商品の本質をどこまでも追求して、最高のものをお客様に提供しようとしています。商品が顧客に届くまでの手間のかかり方が他とは全く違うのです。
他社が安易な差別化などでは到底真似できないところに到達しているので、ファンができてビジネスも安定するんですね。
最高の商品を提供すること。
これには、商品を愛する思いやお客さんに最高を届けたいという意志、そして多くの時間と労力が必要です。そしてどこまで行っても終わることはありません。
売上を、減らそう
「売上を、減らそう」という本の著者である中村さんの佰食屋(ひゃくしょくや)も、基本的な考え方は一緒です。
広告宣伝にお金をかけるより商品原価にお金をかけ良い商品を作るのです。それによってお客さんが口コミで集まる繁盛店を作りました。
「減価率を30%以内に抑える」「残業が多い」などの飲食業界の「常識」を打ち破って成功し、多くのメディアでも取り上げられました。
一見すると非合理に見えることでも、多くの人たちを喜ばせることを目指せばビジネスの本質的価値を創り出すことができますね。
物事の表面だけしか見ない人には非合理に見えるからこそ、競争が減るのです。
本質を見抜いて逆張りをする人には多くのチャンスが広がりますね。